史実と符合する逸話の凄さ

2012.01.07

すっかり宗旦に成り切った狐は、あろうことか、相国寺塔頭「慈照院」の茶室開きのとき、宗旦になりすまし点前を披露した。遅れてやってきた本物の宗旦は、その様子を間近に見て、その点前のあまりの見事さに感嘆したという。しかし、歌舞伎や浄瑠璃でおなじみの「蘆屋道満大内鑑」同様、化けた狐の末路は哀れである。相国寺近くの豆腐屋で、油揚げを盗み食いしているところを店の主人に見つかり、慌てて飛び込んだ井戸で溺れ死んでしまった。

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愛すべき狐の死を悼んだ僧たちは、丁重に葬り、「宗旦狐」と名付け、祠を建て祀ったという。この逸話の凄いところは、かなり史実と符合する部分が多いところで、現に、織田有楽斎や宗旦らの手によって作られた四畳半下座床の茶室「頤神室」は今も「慈照院」に残っていて、狐が顔を出しても不思議ではないような空気を湛えているのだ。更には、狐が最期を遂げた豆腐屋だろうと推察される店も現存していて、ちゃんと井戸も残っている。時折、宗且稲荷に油揚げが供えられていることがあって、それは決まってその店のものだという。




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