東京〜大阪間九時間という時間に、さほど抵抗を感じない年輩の方もいらっしゃるだろう。東海道新幹線開業直前の昭和三九年九月号の時刻表を見やれば、東京駅8時30分発の大阪行急行「六甲」(101M)なる列車が載っている。この急行、途中、品川、横浜、大船、小田原、湯河原、熱海、三島、沼津、清水、静岡、浜松、豊橋、蒲郡、刈谷、名古屋、尾張一宮、岐阜、大垣、彦根、大津、京都と停まって、終点大阪には16時00分に到着する。新幹線ができる前は、急行列車でも東京〜大阪間は七時間半を要していたのである。列車によっては八時間近くかかっている「急行」も見受けられる。当時、東海道本線をよく利用された御仁にしてみれば、普通列車を何本も乗り継いでも、わずか九時間そこそこなのかと、逆に短く感じられるかもしれない。ちなみに、昭和三九年九月時点では、東京駅14時56分発の普通列車姫路行(143列車)というのがあって、これに乗ると大阪駅には翌朝4時15分に着く。おおよそ一四時間弱の道程である。この他にも、東京23時30分発の普通列車大阪行(145列車)があり、翌日の午前中、10時47分大阪着となっている。後者は普通列車でありながら、深夜帯の走行となる東京〜浜松間が急行並みの停車駅とされているため、一一時間ちょっとの所要時間なのである。もしも、このころ、「青春18きっぷ」が発売されていたならば、右の二本の普通列車は、夏休みなど、きっと連日、敗戦直後の買い出し列車並みの大混雑に見舞われていたに違いない。
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